元刑事が書くデジモノブログ

警察歴7年の元刑事が、警察体験談からデジモノレビューまでやってます!

警察体験談 職場実習生編③「交番の一日(前編)」

【前回までのあらすじ】

いよいよ交番に繰り出したmassan。

さあ、交番での一日が始まるぞ!

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交番に到着して最初にすることは…

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パトカーで交番に出勤します。

玄関をくぐると、大きなカウンターが目の前に広がります。

 

カウンターの上には、いろんな防犯パンフレットや広報誌が並んでおり、隅には一人の老人が座っています。

 

この老人は、どの交番にも配備されていると思いますが、「交番相談員」さんと呼ばれる方です。

 

「交番相談員」さんは、警察を定年退職したOBの方がほとんどです。

事故や事件には対応できませんが、道案内や落し物の受付などの対応をしてもらえます。

 

 

私は、指導員であるサワムラ部長の後に着いて、交番の奥に入っていきます。

 

サワムラ部長は荷物を置くなり、突然大声で

「オイ、massan!!」

と私を呼びました。

 

私は突然の出来事にビクッと身をふるわせます。

 

サワムラ部長はこう言います。

「お前、交番相談員さんに挨拶は済んだんか!?」

 

そういえば、サワムラ部長に着いて行く一心で、まだ相談員さんに挨拶をしていませんでした…

 

慌てて相談員さんに、自己紹介と挨拶を済ませます。

相談員さんは笑顔で

「ええよええよ、これから頑張ってな」

と返してくれました。

 

しょっぱなから怒られてしまいましたが、若手のうちは目上の人への挨拶と、コーヒーを入れることは大切な仕事になります。

 

特に警察では「上司にコーヒーを入れる」という動きは、大変重要視されます。

 

なぜかは分かりませんが、一説によると

「上司にコーヒーを入れるタイミングを気遣うことで、他人の気持ちや行動を判断・分析できるようになる」

とも言われています。(ウチの県だけの話だったらごめんなさい)

 

 

勤務日誌を作る

それが終わると、勤務日誌というものを印刷します。

勤務日誌は、 エクセルのマス目みたいなのがA4用紙の左側に縦長で書いてあります。

このマス目の横に、9:00、10:00、…と時間が書いてあります。

 

マス目の中に、自分が行動した時間分だけ棒を引き、その横に「警ら」「立番」など、なにをしたかを書くようになっています。

 

平成19年当時は、まだ手書きで書いていましたが、あれから10年経った今は、どうなってるんでしょう?

やはりパソコンで日誌を書くようになったのでしょうか。

 

ご存知の方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください。

 

 

私の指導員さんは元マル暴刑事でした

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現場に出て、どんな指導員さんに着くかは完全にランダムです。

それぞれの指導員さんが、それぞれの経験をしてきています。

なので、実習生への教え方も、人それぞれです。

 

私が着くことになったサワムラ部長は、元刑事の方でした。

歳は55歳くらいだったと思います。

 

20数年間ずっと刑事畑で活躍してきた方で、専門は「組織犯罪対策係」

いわゆる「マル暴」刑事です。

 

2年ほど前に、刑事部門の上層幹部と対立したことがきっかけとなり、サワムラ部長は刑事部門を退くことになります。 

 

今は交番の一員ですが、ブルーの制服を着ていても、さすがは元マル暴刑事。

金のロレックス、真っ黒な数珠、金縁の老眼鏡などを身につけ、センスが完全にヤーさんのセンスでした。

 

私物のネクタイも、金と黒のバクテリアがウネウネしたような、普通の人は決して選ばない柄でした。

 

真っ黒な肌引き締まった筋肉

オラオラ系の喋り方で、おまけに声もデカイです。

  

暴力団事務所の前を通ると、サワムラ部長に挨拶する構成員も多く、マル暴刑事として相当有名だった人でした。

 

私がゆくゆく刑事の道を目指すことになったのは、この人の影響が強かったです。

 

 

警ら(パトロール)に出る

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早速ですが、午前中の警らに出ます。

私はまだパトカーの運転が許されないので、サワムラ部長が運転します。 

 

向かってくる車の運転手が、携帯電話で電話しながら運転していました。

サワムラ部長はすぐさま「お前、今気づいてたか?」と声をかけてきます。

 

そのときの私は全く気づいておらず「え?なにがですか?」と返します。

直後罵声が飛びます。

 

「今の運転手、携帯電話で電話しとっただろうが!お前おまわりなら、シャンと前向いて見とかんかい!!」

 

そう言って赤色灯をつけ急旋回し、違反者を追いかけていきます。

 

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ほかにも、サワムラ部長は怪しい人を見かけると、即職質モードに切り替わるので、このモードを察知すると

「いつでもパトカーを降りれる心の準備」をしておかなければなりませんでした。

 

 

初めての交通事故現場

無線で事故の入電を受ける

警察は独自回線の無線を使用しています。

この無線からは、事故や事件の110番通報が、随時流れるようになっています。

 

 サワムラ部長と警らに出ていると、無線から交通事故の110番が流れてきました。

 

「現在110番入電中。◯◯地内にて、物損事故の入電。軽乗用車と普通車の接触事故。場所、◯◯市◯◯町…」

 

こんな感じで、本部の指令課から通報の内容が流れてきます。

 

本部から所轄署へ指令があり、さらに所轄署から各無線車両(パトカー)に指令がいくシステムになっています。

 

「”西部”から”西部127”」

 

これは「西部警察署」から「西部署の127という無線機」を呼んだという意味です。

 

”西部127”は、私が身につけている無線機でした。

 

最初私は無線で呼ばれているのに気がつかずボーッとしていましたが、サワムラ部長からすぐに怒られます。

 

「オイ、127って呼ばれとるだろうが!!応答せんか!!」

 

私はハッと気づき、無線に応答します。

が、なにをしゃべればいいのか分からないので、サワムラ部長に教えられるがままに答えるので精一杯でした。

 

「西部127、事故現場、臨場(りんじょう)します!」

 

 

事故現場で警察官がやること 

初めての事故現場に向かいました。

駐車場の中で、車と車がすれ違いざまに接触した事故でした。

 

双方のドライバーから「運転免許証」と「自賠責保険証」を出してもらい、その内容を「物損メモ」という用紙に書きなぐっていきます。 

 

この「物損メモ」の作成は、ちんたらちんたら書いていると怒られます。

できるだけ早く書かなければなりません。

 

今回のようなケースに限らず、荒れた事故現場だってあります。

けが人が出ている事故の場合、負傷者の救護や、動かなくなった車両の措置などもしなければなりません。 

 

物損メモに限らず、警察の書類づくりは「迅速、丁寧、間違いのない書類づくり」というスタンスが大切です。

 

 

初めての万引き現場

無線で万引きの入電を受ける 

今度は本部からこんな指令が入ります。 

 

「◯◯町地内ミナトモール◯◯店惣菜売場にて、万引き発生。現在被疑者を確保しているとの内容。被害額480円相当。警備室で◯◯という警備員が対応中」

 

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 ミナトモールの惣菜売場で、万引きがあったようです。

 

しかし万引きの犯人は警備員に捕まっており、現在警備室に確保しているというパターンです。

 

このパターンは「通報万引き」と呼ばれていました。

 

ここで、警備員が手慣れた人の場合、確保した犯人の氏名や住所を、警察が来る前に聞いている場合があります。

(これを、人定事項(じんていじこう)の聴取といいます)

 

人定事項が分かれば、できるだけ早く「前科前歴照会」をする必要があります。

 

「前科前歴照会」をする理由は、万引きをした犯人が「出来心でつい万引きをしてしまった人」か「手グセが悪く頻繁に万引きをする人」かを判断するためです。

 

詳しい話はまた後日書きます。 

 

 

軽微な万引きは「微罪処分」という書類で終わる

このときの万引き犯は、今までの人生で一度も犯罪をしたことがない人でした。

歳はかなりの高齢で、80歳代後半の女性だったと思います。

 

盗んだ商品は、惣菜コーナーにあったポテトサラダや佃煮などでした。

値段としては、総額で480円程度の、本当に軽微な万引きです。

 

女性はうつむいたまま「すみません、すみません」と繰り返していました。

 

女性の所持金を見せてもらったところ、財布には2000円ほど入っていました。

 

お金を持っていたので、盗んだ商品の代金を、その場で店の人に払ってもらいます。

そして、店の人から承諾をもらえたので、2枚の用紙だけで終わる「微罪処分」手続きをします。

 

「微罪処分」の用紙には、テンプレートが書かれています。

 

こんなテンプレ内容です。

  • 犯人の欄には「もう二度とこのような犯罪はしません」という署名欄
  • 店の人の欄には「程度も軽いので、今回は微罪処分で許します」という署名欄
  • 犯人の保護者の欄には「今後本人がこういった犯罪をしないよう、見届けていきます」という署名欄

ちょっとざっくりではありますが、こういった内容になります。 

 

出来心で万引きなどをしてしまった人で、なおかつ本人も深く反省している場合には、こうした手続きで万引きの処理を終わらせる場合もあります。

 

 

実はとても多い、高齢者による万引き

お年寄りによる万引きのケースは、とても多いです。

今まで一度も犯罪に手を染めたこともなく、若い頃は一生懸命働いていた人がほとんどでした。

 

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決して払えない額でもありません。

お金が無いわけでもありません。

しかし、なぜか盗んでしまうのです。

 

個人的な考えが入りますが、私が経験したこの手のパターンでは、

長い間付き添っていた旦那さんや奥さんに、先立たれてしまった人が多かったように思います。

 

話し相手も周りにおらず、残りの人生のことを考えて、悲観的になっている人も多かったです。

 

この手の事案に臨場すると、なんとも言えない気持ちになりました。

 

 

交番の一日はまだまだ続きます…

前編はここまでにします。

だいぶ端折って書いたつもりが、4000字オーバーになってしまいました(汗)

 

交番勤務は、24時間の間にさまざまな事案が起こります。

その全てを書くことはできませんが、できる限りリアルな内容の体験記を書いていきたいと思います。

 

そんなわけで、次回もよろしくお願いしますm(_ _)m