元刑事が書くデジモノブログ

警察歴7年の元刑事が、警察体験談からデジモノレビューまでやってます!

警察体験談 刑事実習編「刑事の世界を体験します!」

【前回までのあらすじ】

交番での仕事を体験し、実務のイロハを学ぶmassan。

今回は、刑事課の仕事を体験する!

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刑事実習とは?

まずはじめに、警察学校を卒業したあとの流れを一通り説明します。

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  • 警察学校で初任科教養を学ぶ(大卒:6ヶ月、高卒:10ヶ月)
  • 職場実習生として交番に配属(2ヶ月)
  • 刑事実習生として刑事課で指導を受ける(1ヶ月)
  • 交通実習生として交通課で指導を受ける(2週間)
  • 再び警察学校に戻り初任補修科を学ぶ(大卒:2ヶ月、高卒:3ヶ月)
  • その後交番に戻り実戦実習生として経験を積む(大卒:4ヶ月、高卒:5ヶ月)
  • 採用から15〜19ヶ月間を経て、ようやく一人前の警察官になる

実は一人前の警察官として認められるまで、1年以上もの時間がかかります。

 

今回は、上から3番目の刑事実習生についての話です。

 

刑事実習では、約1ヶ月間刑事課の指導員に着き、刑事の仕事を目にすることができます。

この実習では、交番で取り扱わない事案や、捜査書類の作り方などを学ぶことになります。

 

自分がついた指導員はこんな人でした

この実習で着く指導員も、どの係の刑事につくかランダムになります。

だいたいは強行班係か盗犯係のどちらかになると思います。

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 私が着いたのは、盗犯係のササキ部長という方でした。

 

年齢は29歳くらいで、やる気に満ち溢れた体育会系の方でした。

手を抜くことがあまり好きではなく、犯人を捕まえるために努力も苦労も惜しまないタイプです。

ガッツもあり、性格も気持ちのいい人でした。

わからないことも丁寧に教えてくれて、多くのことを勉強させてもらいました。

 

警察官にも色んなタイプの人がいますが、ササキ部長のようにこちらがやる気を見せれば応えてくれるタイプの人はけっこう多いと思います。

 

具体的にどんなことを教えてもらうのか

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刑事実習では、交番で扱うよりも少し複雑な事案に行くことが多いです。

こうした現場を通じ、以下のようなことを学びます。

  • 被害届で書き込むポイント
  • 現場での写真の撮り方
  • 指紋や微物の採取方法
  • 現場の図面の書き方

 

警察学校を卒業してまだ2ヶ月しか経っていない実習生なので、まだ警察の仕事もよく分かっていませんが、

あくまでも大まかな流れや初歩的な手法を学ぶことが目的となる実習です。

あまり緊張せずに取り組みましょう。

 

だからといって、完全にお客様気分で現場に着いて行くのも、印象として良くありません。

自分が将来この業務をしなければならないということを意識し、実習に取り組むことが大事です。

 

 

出張捜査に同行する

出張捜査をしたのはこんな事件でした

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この実習中に、捜査のための出張にも連れて行ってもらいました。

 

訪れた先は、広島の郊外にある住宅街でした。 

 

今回の目的は、当県で起きた車上ねらいの被疑者について捜査することでした。

警察では、犯行を疑われている者を「容疑者」と呼ばず「被疑者」と呼びます。

事件の内容は、営業中のパチンコ店の立体駐車場で、駐車していた車の中から通帳やキャッシュカードが盗まれたというものでした。

 

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この当時の防犯ビデオは、今のものより映像が荒い機種ばかりでした。

 

しかし、 被害にあった駐車場の防犯ビデオ映像を科学捜査研究所で分析したところ、被疑者が使っている車のナンバーが写っており、数字もほとんど判明しました。

さらにその後の捜査で、このとき盗まれたキャッシュカードが、広島県内のコンビニで使われた形跡があることも分かりました。

 

この二つの要素を整合した結果、一人の被疑者が浮かび上がったわけです。

 

出張捜査の成果

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被疑者が浮上したものの、まだ決定的な証拠が出てきたわけではありません。

被疑者が、どこに住んでいて、どんな生活をしているのか、逮捕に向けてさらに念入りに調べる必要があります。

今回の出張では、被疑者について分かることを徹底的に調べ、当県に持ち帰ることが目的でした。

 

被疑者の家の近所を回り、犯行に使った車が停まってないか探します。

案の定、防犯ビデオに写っていたのと色も種類も同じ車を見つけました。

科捜研の分析で分かったナンバーの数字も一致しています。

 

次に家の近くに車を停め、被疑者が出てくるのを待ちます。

張り込み捜査です。

3時間ほど待つと、一人の男が家から出てきて、さっきの車に乗り込みます。

防犯ビデオに写っていた男と、同じ服装をしています。

 

男が運転する車を後ろから追跡します。

男は近所のパチンコ店に入り、そこから4時間ほどパチンコを打っていました。

それが終わると、コンビニで買い物をし、家に帰っていきました。

 

この出張では、これらのことが確認できました。

  • 被疑者の住んでいるところ
  • 被疑者が乗っている車
  • 被疑者の風体
  • 被疑者の日常生活や趣味趣向

 

今回の出張捜査の結果から、「この男が車で当県にやってきて、パチンコ店の駐車場から通帳とキャッシュカードを盗んだ被疑者に間違いない」証拠を見つけることができました。 

これで逮捕状が請求できます。

 

逮捕する前に刑事実習が終わってしまったので、最後までこの事件に関わることはできませんでしたが、

この経験を通じて「刑事事件はワクワクする」という思いがかなり強くなった私でした。

 

おわりに

刑事実習は1ヶ月間しかないので、あっという間に終わります。

しかし、私にとってはその後の警察人生に影響する、とても有意義な実習でした。

この実習からもうすぐ10年経ちますが、今でもこの時のことが忘れられません。 

 

 

さて、刑事実習も終わり、次回は「交通実習編」をお送りする予定です。

この実習では、交通一課と交通二課の両方の仕事を体験させてもらいました。

その時の話を書きたいと思います。

 

それでは、今回も長文お付き合いありがとうございましたm(_ _)m